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Halu's LOHAS LIFE

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カテゴリ:ほん( 29 )

オリンピック身代金 奥田英朗

「オリンピック身代金」 奥田英朗

本格的ミステリーなんだけど、随所に奥田さんらしいユーモアが感じられる
読みごたえある一冊。

主人公島崎国男のキャラクターが際立っています。
東大大学院生で、女性にもてる男前。

恥部を隠し、表面を張りぼてでいつわり、末端の庶民に過酷なしわ寄せを
課して行われた、日本の威信をかけた東京オリンピック。

それに、反発し、国家を相手に戦いを挑み、オリンピックに身代金を要求する
連続爆発事件の犯人。

オリンピックを無事何事もなかったかのようにとりおこなうために
すべてをひた隠し、血眼で犯人を追う警察と公安。

最後はわりと簡単に予測できて、大どんでん返しはないんだけど、最後まで一気に読み進めたくなる
面白さ。(ま、ちょっと長いけど・・・)

昭和39年の日本の様子が、細かく再現されていて、それも興味深いです。

北京オリンピックも、そんな感じだったのかな・・・

国の威信をかけたお祭り。

さて、ロンドンオリンピックもどんなドラマが待ち受けているのか
楽しみでもあり、そのみせかけの華やかさの裏に潜む、開催国の貧富の差や
隠された問題などが、垣間見られるのかな~と思ったりしました。

マラソンコースの問題とかね。
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by halu-s | 2012-07-20 22:41 | ほん

角田光代週間

せっかくのいいお天気の3連休だったけど・・・

体調悪く、だらだら本を読んで過ごしました。

角田光代週間と称して・・・

読んだこの3冊。

「空中庭園」「対岸の彼女」「まひるの散歩」

「空中庭園」は婦人公論文芸賞受賞作品。

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「なにごとも包み隠さず」がモットーの京橋家の一人一人の
目線で書いた短編が6つで構成されています。

一人一人が秘密を持っていて・・・

家族ってなんだろうって、思い知らされます。

もともとの家族の始まりが、母親の絵里子の秘密から
はじまっているので、
それぞれの秘密がつながっていて、構成のうまさに
ため息がでます。

「対岸の彼女」は直木賞受賞作。

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公園ジプシーになってしまった主婦になった主人公が
子どもを保育園に預けて働きに行こうと思い立ち、
そこでであったベンチャー企業の女社長との友情
がめばえ・・・

子どもを抱えて働くという現実。

夫の無理解、子どもがいなくて働く女性との亀裂。

さまざまなことを考えさせられる、素晴らしい作品でした。

特に、その女社長が高校生だったころ、夏休みに親友と住み込みのアルバイトをして、
アルバイトが終わっても帰りたくなくて、ラブホテルを泊まり歩いて
結局社会的な事件になってしまい、そのお友達とは離れ離れに
なってしまったという事件の描写。

秀逸でした。

「まひるの散歩」は、オレンジパページに掲載されたエッセイをまとめたもの。

すぐに読めるし、面白い!

視点がやっぱりちょっと違うんだね。

いや~角田光代はすごい!
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by halu-s | 2012-07-16 00:18 | ほん

紙の月 角田光代

「紙の月」  角田光代

契約社員として銀行に勤める41歳の美人が、1億円を横領してタイに逃亡するお話です。

帯に「彼女は、はたして逃げ切れるのか?」
なんて書いてあるので、スリリングな逃亡劇なのかしらと思ったけど、
内容は、ごく普通の、むしろ地味目な生活をしていた専業主婦が
ひょんなことから、顧客の孫である大学生と出会い、自ら貢いでいく
過程が丁寧につづられています。

彼女の周辺にいる人が抱いていた、彼女への印象も交えながら。

そして、冷めきった夫婦生活。

随分前にあった「伊藤素子」の横領事件がベースにあるのかしら。

だんだん金銭感覚が麻痺していく様子はとてつもなく怖いです。

「もう、やめて~」と思いながら、先が知りたくて夢中で読みました。

しかし、こんな横領が簡単にできちゃう銀行って、どうなってるんだろう。

1億あったら・・・

何に使うのかな~。

もちろんまず、家のローンを返して、海外旅行にいって、
エステやネイルやマッサージに通って、ブランドのカバンや服を
買いまくって・・・

あっという間になくなりそう。

主人公の梨花の金の使いっぷりは、結構気持ちよかったけど
どんどん手を染めていくあたりは、読むのが苦しかったです。

お金って本当に怖いなあ~ってつくづく思いました。

別のスーパーで198円で買えるものが、270円で売ってたら
絶対に買わないせこい私だけど、額が大きくなるとわけわからなく
なるときがあって、危険だわ。

でも、若い男に貢ぐってことはありえないから、大丈夫か。

あっ、そういえば、最近ありえないお金をどぶに捨てたわ。

若い男のために・・・(息子)

^^;
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by halu-s | 2012-07-12 22:07 | ほん

家日和 奥田英朗

大津の中学生自殺事件、現在朝日新聞で連載中の奥田英朗氏の「沈黙の町で」に
よく似ていて、少し驚きました。

7月12日に連載が終わるらしいですが、中学生の深層心理。
身勝手な親たち。
後手後手にまわって、事態の悪化を招いている学校。
警察、マスコミ、いろんな人の視点で
中学生の自殺というショッキングな事件を
語っています。

実際のところ、加害者もまだ中学生で、学校としては対応が遅れてしまったり
本当のことを全部言えないのか、保身なのか・・・

ただ、誰も自殺から救ってあげられなかったのかと、悔いの残る事件でした。

「沈黙の町で」を読んていると、中学生から真相を突き止めるのは
なかなか大変なことかもしれません。

完全な子どもでもないし、大人でも全くない、とても残酷な一面と
かたくなな正義感。

本当に難しい年ごろの心の動きをつかみ、
奥田氏の筆が冴えわたっています。

この「家日和」は、趣が全く違い、まったりと楽しめる作品です。


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ネットオークションにはまった主婦の話に始まり、ロハス生活にはまった妻、
マラソンに出ることになった妻をささえる夫、会社が倒産して妻が働きに出、
家事にはまりだす夫の話、離婚されて残された部屋に自分の理想の城を築く男の話。

くすっと笑えて、その心理描写の繊細さに舌を巻く、素敵な短編がつまっています。

家族の愛で、陽だまりのような温かみを感じたい人におすすめ。

すぐに読めちゃいます。
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by halu-s | 2012-07-09 23:02 | ほん

ラブレス 桜木紫乃

直木賞をとりそこなった作品だそうで・・・

「ラブレス」読みました。

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すごい話です。

家族ってなんだろう・・・って考えさせられます。

北海道の極貧の家庭。父親はアルコール中毒で暴力をふるい、
母親は文盲。
ひどい暮らしに弟たちはすさんでいき、6歳くらいまでは裕福な家で
育てられてもどってきたしっかり者の妹は、家になじめない。

そんな中、長女は父親の借金の方に奉公にだされ、そこの主人に
てごめにされます。

歌の上手な百合江は、主人を脅迫して、奉公先を飛び出し、
旅芸人の一座に転がりこみます。

その場しのぎの人生を生きる百合江。

そして、そんな生き方に反発しつつも、大切に思いあう妹里美。

百合江の娘と、里美の娘の現代の様子もからめつつ、
百合江の人生を丹念に描いていきます。

まあ、それにしても、こんなひどい家族があったもんだと
思う反面、どんなにひどいことをされても、完全に切り捨てられないのが
肉親の情というものなのでしょうか。

多少、感情移入できないエンディングではありますが、
最近にしては珍しい、泥臭い一代記。

一気読みしちゃいました。
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by halu-s | 2012-07-04 22:58 | ほん

森に眠る魚  角田光代

読んですぐ「あれ?これ、名前をなくした女神の原作?」と思って
調べたら、そうでもないらしいです。

でも、ネットでそうじゃないかと話題になっていたようで・・・(今頃^^;)

似ていますが、ドラマのように、中立の主人公がいなくて
5人全員が普通の主婦。

1996年におこった文京区幼女殺人事件がモチーフになっているようです。

物語後半、固有名詞が突然なくなり、主語が彼女にかわり、子どもに手をかけるような描写があるのですが
そこはほんとに鳥肌が立つほど怖かったです。

でも、結局子どもは殺されることなく、誰の事だったかもよくわかりません。

もしかして、あの事件のことを描写しているのでしょうか。

そのあと、物語はそれぞれの今後を示唆して終わります。

子どもが小さい時は、お友達が必要で、公園で親子でつきあえるお友達が
できるのは本当にうれしいものです。

そんなはしゃいだ気持ちで子育てをともに楽しんでいた仲間が、「お受験」を考える年ごろになると
微妙に考え方や価値観の違いが生じ、だんだん疑心暗鬼になっていきます。

それぞれに、どんどん歪んでいく様子は重苦しく、怖いです。

女性が心の奥深くに潜ませている、競争心、嫉妬心、固執性などを
これでもかというくらいに、えぐりとり、生々しく描写する筆力に圧倒されます。

私は人一倍、虚栄心も競争心も強いので、自分の心をコントロールするのに
随分苦労しました。

群れるのが苦手で、単独行動が多かった私にとって、子育ての時期の
友達づきあいは、正直無理してたなあと思います。

最後の章にさしかかったころ、何度か、「もう終わりだと思ったけど、何も変わらなかった」
というような表現がでてきます。

冷静に考えると、どうってことのない事にみんな必死であがいているのです。

親も子どもも成長した後振り返ると、どうしてあんなふうにしか
考えられなかったんだろうと、ばかばかしく思うものですが。

エンディングでは、それぞれが、少し前に進んで、
危うさは残るものの、それぞれのところに落ち着いたというところで
終わります。

ほんの少し薄暗い希望の光を残しながら。
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by halu-s | 2012-07-03 23:10 | ほん

我が家の問題

「我が家の問題」 奥田英朗

なんだかんだ言っても、家族っていいな~と思える一冊。

6つの家族のほのぼのした物語が楽しめます。

「甘い生活」では、18歳から一人暮らしをし、30歳で結婚したサラリーマンが
完璧をめざすけなげな妻に、息苦しさを感じる心境が綴られていて、
そんなものだったのかな~と、遥かなる過去の新婚時代を思い出してみる。

主人も19歳の時から一人暮らしをして、28歳で結婚。

そいうえば、魚のムニエルにグリーンソースなんて料理を作ったら
「魚は焼き魚にして」とにべもないし、ボーナス支給日にお刺し身買って
「お疲れ様」なんてやった日にゃあ、「こういうのやめて」と言われたなあ。

「ハズバンド」では、会社のソフトボール大会で、「どうやら夫は会社で仕事が
できないらしい」と気が付き、気をもむ妻の心情。

「絵里とエイプリル」では、離婚を考えている両親を心配する娘の心情。

「夫とUFO」は、UFOと遭遇したという夫に、精神疾患ではないかと真剣に心配する妻。

「里帰り」は、東京で暮らす新婚カップルが札幌と名古屋のそれぞれの実家に
初めて里帰りする心情。

「妻とマラソン」は、初めて東京マラソンに参加することになった妻を思う夫の話。

それぞれに、滑稽なほど一生懸命家族の事を案じ、笑いながらもほろりと
来てしまうような、そんなお話ばかり。

それにしても、奥田さんの人間心理描写力はすごい。

もと、コピーライターなんだって。
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by halu-s | 2012-06-17 23:58 | ほん

エパミナンデス

読み聞かせをしているお友達のブログで気になった本。

エパミナンデス

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図書館で借りてきて読みました。

東京子ども図書館発行の「おはなしのろうそく」シリーズの第一巻で、

読み聞かせにぴったりの世界各国の昔話がいくつか入った本です。

お母さんとすっとぼけた男の子の
ほのぼのした会話が楽しい「エパミナンデス」

子どもたちの小さい時に出会っていたら、喜んだだろうなあ。

「おいしいおかゆ」とか、もう信じられない世界観!

それから、「かしこいモリー」に至っては、イギリスの昔話らしく
ちょっとジャックの豆に木に似てるのだけど、
正直、こわかった~

子どもたちは、こんな怖いお話大丈夫なのかしら。

それに、モリーたちをかくまってくれた恩義のあるおかみさんを
自分の身代わりに犠牲にするなんて、信じられない!

・・・と、相変わらず、生真面目な感想を持つ私であった。

この本は読み聞かせのお母様のバイブル的存在のようですが
ぜひ、「かしこいモリー」の感想と、子どもたちの反応を
教えていただきたいものです。
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by halu-s | 2012-06-15 23:23 | ほん

ヘルプ~心がつながるストーリー~

ヘルプ~心がつながるストーリー

60年代のアメリカ南部のお話。

60年代といえば、私が生まれた年代。

そんな遠くもない過去に、こんな人種差別が行われていたとは・・・
黒人の大統領がいかにすごいことか改めて思い知りました。

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映画化されて話題を呼んだキャサリン・ストケットの処女作にしてベストセラー(うらやましい・・)

登場人物のキャラクター設定のうまさで、ぐいぐい引き込まれます。

黒人にふれると病気が移るからトイレを別に作る法案をつくるだの、
アフリカの恵まれない子どもたちへの慈善活動をしながら、
身近にいる黒人をしいたげる矛盾。
そして、その間違いを正そうとする白人へのいじめ。
家事や子育てをすべて黒人メイドに押し付けて、
遊んで暮らす白人専業主婦たちの日常。

驚きました。

80年代にアメリカ南部にホームステイして、人種差別の洗礼を受け、
独自の言葉で話し合う大学寮の黒人たちと、黒人にも白人にも受け入れられない
ハーフの苦悩などを目の当たりにし、未だ、黒人メイドを雇うお金持ちのおうちの
パーティに参加した経験もあったけど・・・

その20年前は、ここまで人種差別があからさまだったとは。

この本は、アメリカンヒストリーの恥部を描きながらも、
ユーモアを忘れず、愛情たっぷりに描かれているので、
暗い気持ちにならず、はらはらしつつも、楽しく読めます。

借りたい人は、文庫本で二冊。

お貸ししますよ。
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by halu-s | 2012-06-12 22:47 | ほん

八日目の蝉

ずいぶん前に図書館に予約をいれたらなぜか英語版がきて、
「へえ~英語版があるんだ!」と驚いて、まあ読んでみたけど、
日本の小説を英語にすると「ほお~こう訳すか・・・」「えっ?この単語はどういう意味だろ?」
とか英語に
気をとられて今一つ物語の良さにふれられず。

もう一度日本語版に予約を入れるも、なかなか来ず・・・

最近、DVDで映画を見て感動していたところ、
やっと手に入り読むことができました。

最後には、じわ~りと大粒の涙がこぼれました。

ほんと、角田光代さん、うま~い!

息つく間もない逃走劇の末の、最後の静かな余韻。
七日目に死ぬはずの蝉だけど、生き延びた
八日目の蝉が見る世界は、そんなに悪いもんじゃなかった・・・
美しい瀬戸内の海が、キラキラと水面を輝かせている風景が
浮かび、切ない母性愛に心打たれます。

子どもは3歳までに一生分の喜びを与えてくれる。

そんなことを聞いたことがあります。

どんなに、憎たらしいことをいう思春期を迎えても、
赤ちゃんの時の感触、私の手をぎゅっとにぎる小さな手の思い出。

それを思い出すと、「そうだよね。もう一生分先にもらっちゃったもんね。」と
あきらめて、小さいころの写真なんか見て、涙こぼしたり。

そのかわいい4年間を盗んだきわこの罪は重いけど、
先にその4年間を味わえない女にしたのは、秋山であり
この男のせいで、二人の女性の人生はボロボロにされてしまいます。

どちらにせよ、テーマである母性愛は、
暖かくも切なく、涙がとめどもなくこぼれてくるのでした。

映画もよかったけど、やっぱ小説にはかなわなかったわ~
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by halu-s | 2012-05-29 14:53 | ほん