湊かなえの小説は、設定とか面白くて読みやすいからついつい読むけど、読んだ後
「えっ、それだけの理由で殺しちゃうの?」って、納得いかないことが多いのです。
今回の「夜行観覧者」も、読後感気持ち悪い小説でした。
深みがないというか、今の世の中こんなんなん?って背筋が寒くなるというか。
でも、このドラマは結構面白く作ってあって、読んでない人は「もしかして、あの人が犯人?」
って思うような作りで、うまいなあ~と感心。
もしかして、納得のいく理由に書き換えてくれているのかも・・・と
期待しました。
そして迎えた最終話。
やっぱ、原作をそこまで変えられないのかな。
読後感と同じ感想。
完璧をもとめて家族を作ってきた後妻が、前妻へのジェラシーなど
ためてきた感情を一気に爆発させて、感情的に最愛の夫を殺したというだけの話。
そんな一時的な感情で、人は人を殺すのかな。
しかも、最愛の素晴らしい夫を。
結局、宮迫の借金やら、 妹との確執やらは、どうなったん?
小嶋さんは結局、いい人やったん?
凶器となったトロフィはどうなるん?
マスコミ向けの記者会見でついた嘘は、世間でまかりとおるん?
突っ込みどころ満載のエンディング。
「家族には絶対言えない秘密がある・・・」と毎回意味深だった秘密って
結局なんだったの?
母親が父親を殺して、人生をむちゃくちゃにされて、
なにがきっかけで、兄弟三人で生きて行こうって
明るく許せるのか・・・
う~ん。全然理解できない。
最終回までひっぱった手腕は認めますが、最後原作をこえる
説得力がほしかった。
でも、考えてみれば、すごい悪人がいて、「いや~なるほど、こうきたか」とうならせられる
小説よりも、だれも悪人がいなくて、ちょっとしたきっかけで家族が崩壊するこの小説の
方がリアルで怖いのかも。
母親の何気ない一言に怒って、あやかが荒れ狂うシーンとか
まるで思春期の息子が荒れ狂っていた時と同じだったもの。
そう考えると、やっぱり、湊かなえって、すごいのかな。