「オリンピック身代金」 奥田英朗
本格的ミステリーなんだけど、随所に奥田さんらしいユーモアが感じられる
読みごたえある一冊。
主人公島崎国男のキャラクターが際立っています。
東大大学院生で、女性にもてる男前。
恥部を隠し、表面を張りぼてでいつわり、末端の庶民に過酷なしわ寄せを
課して行われた、日本の威信をかけた東京オリンピック。
それに、反発し、国家を相手に戦いを挑み、オリンピックに身代金を要求する
連続爆発事件の犯人。
オリンピックを無事何事もなかったかのようにとりおこなうために
すべてをひた隠し、血眼で犯人を追う警察と公安。
最後はわりと簡単に予測できて、大どんでん返しはないんだけど、最後まで一気に読み進めたくなる
面白さ。(ま、ちょっと長いけど・・・)
昭和39年の日本の様子が、細かく再現されていて、それも興味深いです。
北京オリンピックも、そんな感じだったのかな・・・
国の威信をかけたお祭り。
さて、ロンドンオリンピックもどんなドラマが待ち受けているのか
楽しみでもあり、そのみせかけの華やかさの裏に潜む、開催国の貧富の差や
隠された問題などが、垣間見られるのかな~と思ったりしました。
マラソンコースの問題とかね。